「苦しかった時の話をしようか」を読んで(part1)vol1

 まずこの本全体を通して思ったのは、「論理」「感情」のバランスが絶妙で素晴らしい、という事。もともと森岡毅さんが自分の子供たちに向けて書いた文章だからという事もあり、”自分のキャリア”に対する向き合い方についてただ理想論を並べるのではなく、現実的に実践可能なレベルまで落とし込んで書かれていた。そして、要所要所で多くの人が向き合うことになるであろう困難に対する対策やその困難の本質について丁寧に書かれており、読み手に対する愛が感じられた。

 やはりそういった読み手に寄り添っているという事が感じられると、書かれている情報自体に対する信憑性が高まるし、書かれていることを行動に移してみようかなという気持ちになる。(これこそ認知バイアスで、情報を集めるときに排除すべき感覚なのかも知れないが。)

 スピーチを通して、人の心を動かすためには「論理」と「感情」の両方を担保しなければならない。と、いう事は言葉では理解していたが、理解の深さや実際に自分が文章を書く時の実現性でいうとまだまだだと思う。現時点では、論理は感情を実現するための手段にすぎず、その論理を組み立てる上でのパーツも分解すると一つの感情であったりする。だから文章を書く上で、大まかな感情を揺れ動かすベクトルを定める事、そのベクトルに沿ってポツポツ置かれた感情の地点を論理を使って橋渡ししているのだ、という事を認識しておく事が大切なのではないかと思う。特に論理から組み立てると順序が逆になってしまい、「あれ、これって本当に自分が言いたいのってこういう事だったんだっけ??」ってなるから注意が必要。でも、自分の感情を言語化するために論理的に分解して考えるから、結局論理と感情はゴチャゴチャ。難しい。

 本の感想よりも自分の考えの方が長くなったけどまあこれもまた良き。明日はもっと具体的にこの本の心に残ったことを書きたい。